ドラムができない先生に習った生徒さんの結末

ドラムができない先生に習った生徒さんの結末

私は、運営する英語・音楽教室で先生方を雇用しながら、私自身も英語とピアノを教えています。

教室開設当初は「どっちが専門?」と聞かれることもありました。

 

そりゃ、そうです。

ある日突然、英語とピアノの教室の看板を同時に掲げて、その後14年間は私1人で回していたので、

「本当はどっちの先生(どっちが兼業)?」

と思うのは当然。

 

そんな時、

「どちらも専門です」

と答えて、地道に、生徒さんに目に見える結果を出し続けてきた結果、英語もピアノも、初心者から本格的に学びたい方々までご入会いただけるようになりました。

 

ところが、です。

少し前に音楽教室のドラムコースの先生が結婚退職した際、後任の先生の採用が難航した時期がありました。

(面接のドタキャンや、採用後の突然の辞退など、それは色々ありました^^)


でも、コース閉鎖はあり得なかったので、求人活動をじっくり続けながら、良い先生が見つかるまで私が教える、ということになったんです。


お月謝をいただく以上、生半可なことはできないので、それは猛練習しました。

スティックが当たる手の平に大きな豆ができて、周囲が引くほど練習しました。

その甲斐あってか、まあ、そこそこ叩けるようになったかな、と思っていたんです。

私が受け持ってから半年後の、ドラムコース初の発表会では、大成功をおさめました。

  

・・・ところが。

何だか生徒さんの様子がおかしいぞ、と感じ始めたんです。

 

生徒さんや保護者さまからは「この先もずっとかなこ先生がいい!」と言っていただいていました。

たしかに、「教え方」には、講師歴20年の自負があります。

でも、子どもは、真似をして上手になっていくもの。

それは、ピアノのコンクールなどで成果を上げた生徒さん方を見ても明らかです。

ピアノでは、先生が効果が上がる練習方法を示し、たくさんピアノを弾いてみせて、何十回と先生の真似をして、ようやく思った音が出せるようになっていきます。

(うちのピアノ主任講師も、「コンクールは先生の摸奏が命ですね」と言っていたっけ・・)

 

そしてそれはドラムも同じでした。

私の場合、常に凄まじいスピードで吸収していく子ども達の少し先にいるレベルだったので、

「ここを目指して欲しい」

というお手本となる演奏を見せてあげることができなかった。

 

指導者として大切なのは、「伝える力」や「信頼性」ではあるけれど、ドラムを習いに来ている生徒さんは、ドラムがたたけるようになるために来ています。

子どもたちは、自分たちが目指すところがわからず、ドラムに対する意欲も下降線になってしまっていたのでした。

 

今考えると、生徒さんに申し訳ない、教室としてあるまじき話です。

幸い、夫(=鬼社長)がドラマーでもあったので、レッスン室に入ってもらえることになりました。

その時から、ドラムレッスンは、

「一人一人のレッスンプランをたて、模範演奏を示しながら教える係」

の鬼社長と、

「レッスンの効果が上がるよう、その場に適したピアノ伴奏を入れたり、それぞれの生徒さんに合った伝え方で補佐する係」

の私とで行う、ダブルレッスンとなりました。

(ダブルにしたもう一つの理由は、最初、生徒さん達が鬼社長を非常に怖がったからです(笑)今では、普通に打ち解けてます^^)

 

夫が教えるようになってから、ドラムの生徒さん達の目の色が明確に変わりました。

そして、現に、皆さんのテクニックの上達度が半端ない・・・!

(全員、今はもう私より遥か上のレベル ^^)

 

・・さて、これは、英語のレッスンにもあてはまります。


英語では、先生の話す英語を何度も聞いて真似し、フレーズそのものや発音だけでなく、イントネーションや音の重なり方、間のとり方なども習得していきます。

そのクラスのレベルに合った方法で、とっさに英語のルール(文法)の説明が必要になることもあります。

 

ピアノで言えば、

「バイエルまでしか弾けませんが、ピアノを教えています」

という先生はいらっしゃらないと思うし、

「ドラムは基本的なものしか叩けません!」

という先生に、生徒さんがドラムを楽しく自在に叩けるようにしてあげることは難しい。

 

それを思うと、英語の先生にも、ある程度の英語力は必要。

英語の先生になるには、資格はいらないし、英検1級やTOEIC満点などの最高レベルの英語力がなくても大丈夫だけれど、

・生徒さんのお手本となる発音、イントネーション

・臨機応変に英語で返せるだけの簡単な英会話力

・そこそこのリスニング力

・読解力や文法力(まず英検2級レベルは必要)

そんな、生徒さんのお手本となる力を維持することが大切かなと考えます。

生徒さんに

「先生みたいにできるようになりたい!」

と思ってもらうことは、生徒さんのモチベーションにもつながりますね。

私たち指導者としても、日々研鑽して、昨日の自分より少し高いところを目指していきたいですね!