Ts記事12 レッスン中、元気いっぱいになる子への対応

先生の悩みに効く!ワンポイントコラム12
レッスン中、元気いっぱいになる子への対応
→まずは原因を見つけて、段階的に対応を
レッスン中に「落ち着かない」「周りをさわぐ」「じっとしていられない」子がいると、授業の進行も気になり、つい大きな声で何度も注意することが多くなりがち。
ですが、単に「静かにしなさい」と言うだけでは根本解決になりません。
大切なのは、原因をできるだけ特定し、場面に応じた対応を段階的に実行することです。
以下は現場で実際に使える、即効性のある対処法と予防的な環境づくり、保護者対応までを含む実践ガイドです。

1.まず原因を確認する
落ち着かない行動には複数の原因が考えられます。
- 体調・睡眠不足・空腹ではないか
- 教材や活動が簡単すぎる/難しすぎる(適切な挑戦レベルでなく、集中できない)
- 注意を引きたい行動(注目を求めている)
- 感覚的な刺激(座席、音など)が影響している
- 発達上の特徴や家庭環境の影響の可能性
まずは観察(いつ、どの場面で、誰といるときに多いか)を行い、原因をさぐります。
2.すぐに取り入れられる場面別対応
A:全体の雰囲気が乱れるとき(他の生徒さまにも波及)
- 低い声で簡潔に指示する:「Eyes on me.」「Sit down, please.」
- ルールカードを掲示して示す(視覚化):一目で分かるルール表は効果的
- 「ストップ&リセット」合図を使う(手拍子、ベル、短いチャント):合図を決め、反応させる
B:特定の子だけが騒ぐときは、個別対応が基本
- 近くに寄って小さく声をかける(公然の叱責を避ける)「いつもと違うみたいだけど、何かあった?」etc.
- 役割を与える(ボード係、タイムキーパー、声かけ係など):レッスンの流れの中での注目に切り替える
C:エネルギーが有り余っているとき
- 立ってできる短い動き(その場ジャンプ2回、ストレッチ10秒)を入れて切り替え
- 体を使うタスクをしていたら、ワークシートに書き込む時間にするなど、銅と静のタスクを入れ替える
3.中長期で効く「ルーチン」と「環境」
A:ルーチンを作る(子どもは予測可能性で落ち着く)
- レッスン開始の3分ルーチン(出席→短い英語問→ペアで1文)
- 切り替えルール(チャンツや掛け声で活動を切り替える)
- こまめな「成功フィードバック」で肯定感を育てる
B:教室の物理的配置
- 動線を確保し、遊びたくなる余白を減らす
- 座席配置を定期的に見直す(元気な子の隣に静かな子を配置するなど)
4.指導デザインで落ち着かせる(活動設計の工夫)
テンポのある導入→短い実践→まとめの流れを徹底する(空白の時間を一切作らない)
- タスクを短く区切る(5分を単位に完了感を与える)
- 参加の仕方を複数用意する(声で答える/カードで答える etc.)
- 「成功の確率」を上げる工夫(例文・語彙リストなどヒントを挙げる)でフラストレーションを減らす

5.年齢別の工夫(低学年・中学年・高学年)
低学年(小1〜小3)
- 体を動かすタスクを短くはさむ(絵カード探し、動作リピート)
- 視覚支援(大きなイラスト、色分け)で理解を助ける
- 即時の肯定的フィードバックを頻繁に与える
中学年(小4〜小6)
- ルールを生徒と一緒に作る(協働でのルール作りは責任感を生む)
- タイマーやゲーム性で集中を促す(短いラウンド形式)
- グループ内の役割を固定して安定感を出す
高学年(中学生)
- 自己管理ツールの導入(自己評価シート、目標設定)
- 授業内で短い発表や、会話のやりとりを入れることでエネルギーを言語化させる
- 状況によっては、個別面談を取り入れると効果的なことも。
6.肯定的注目を効果的に使う
注意を引く行動は「注目」を得るためということが多いです。
そこで、問題行動を叱るより先に、良い行動に注目を与える習慣を作ります。
- ルールを守っている子をすぐに褒める(名前を挙げて具体的に)
- 「静かにしているチームにポイント」など、集団の肯定的強化を導入する
7.保護者さま対応と、ご家庭との連携
- ご家庭での様子を会話の中で確認し、温かな姿勢で相談する。
- 教室での様子を共有し、ご家庭でのご協力(声かけや、環境作り、十分な睡眠等)」をお願いする。
8.記録と評価(対応の効果を測る)
- 簡単な記録表を作り、対応が必要な行動がいつ・どの活動で発生したかを1週間単位で記録。
- パターンを確認し、次週の対応法を決める(例:「立ち上がる行動が多い→立ち上がる要素がない、ワークシートを導入する等)。
- 小さな改善が見られたら必ず記録しておく。
★すぐに始められる3つのアクション
- 今週一週間、「困った」行動の「いつ・どこで」を記録する。
- 明日からのレッスンで「切り替えの合図」を一つ導入する(手拍子・チャンツ等)。
- その子に「小さな役割」を与えて肯定的注目に切り替える。
落ち着かない行動は一朝一夕に消えるものではありませんが、原因を特定し、段階的に改善することでクラス全体の学びは確実に安定します。
まずは観察と小さなアクションから始めてみてください!