Ts記事5 英語の質問に「わからない」「日本語で言って」と言われた時

Ts記事5 英語の質問に「わからない」「日本語で言って」と言われた時

先生の悩みに効く!ワンポイントコラム5

「子どもが英語の質問に「何て言ってるかわからない」と日本語で返してくる」

英語のレッスン中に、こんな場面ありませんか?

先生:「How are you today?」

子ども:「え?何て言ったの?」

先生:「What’s your favorite color?」

子ども:「わかんない」「もう一回」「日本語で言って」

英語で話しかけても、日本語でしか返ってこない。


そんなやり取りが続くと、「どう教えたらいいのかな」と悩まれる先生も多いのではないでしょうか。

けれど、これは「英語が分からない子」ではなく、「英語に慣れていない子」によく起きる反応です。

今回は、そんな子どもたちが、英語の質問に返せるようになるための工夫をご紹介します。


  


1、英語の質問に反応できない理由

【「聞き取れない」のではなく、「聞き慣れていない」だけ】

一見「初めて聞いたように」感じていても、実は以下のような要因が影響しています。

  


〈 毎回同じ言い方しか聞いたことがない〉

たとえば、普段は「What’s your name?」を、先生がゆっくり区切って言っていると、
「ワッツ・ユア・ネーム」という音・リズムに慣れてしまいます。

そこに別の先生や音声教材が、「Whatchur name?(ワチャネーム)」のように自然なスピードで話しかけると、子どもは


「それ、知らない…」


と感じてしまうのです。


実は“知っているはずのフレーズ”でも、少しでもスピード・音のつながり・イントネーションが変わると、別の言葉のように聞こえてしまうのです。

    

〈質問の言い方にバリエーションがない〉

英語の質問表現は一つとは限りません。

例:「好きな色は?」

What’s your favorite color?

What color do you like?

Can you tell me your favorite color?

これらはすべてほぼ同じ意味ですが、表現が少し違うだけで、「聞いたことがない」と感じてしまう子も多くいます。

「質問内容に慣れる」だけでなく、「言い方のパターンにも慣れる」必要があるのです。

    

解決策


解決策①:「慣れ」のための工夫をする



英語の質問に反応できるようになるには、やはり“聞き慣れる”時間が不可欠です。

以下のような方法で、自然に慣れていく機会を増やしていきましょう。

   

■ 方法例:

毎回のレッスン冒頭に「今週の質問」を1つだけ決めて、何度もやり取りする

録音音声や動画など、先生以外の声で同じ質問を聞かせる

クラス内で質問リレー(AがBに聞く→BがCに聞く…)を取り入れる

同じ質問を「スロー → ナチュラルスピード」と繰り返す練習

   

こうした繰り返しがあると、子どもたちは「前にも聞いた!」と安心して耳を傾けられるようになります。

解決策②:「わからないときの英語表現」を教える

   

多くの子が、英語で質問されて「わからない」と言ってしまうのは、“英語でどう返したらいいか”を知らないだけの場合もあります。

あらかじめ、「困ったときに使える英語の一言」をクラスで共有しておくと、子どもたちの反応がガラリと変わります。

■ すぐ使える定番フレーズ:

I don’t understand.(わかりません)

Can you say it again?(もう一度言ってください)

One more time, please.

Slowly, please.

こうした表現を紹介し、みんなで練習しておくと、子どもたちは安心して英語で反応しようとするようになります。

 

解決策③:質問のある環境を「日常」にする

    

英語の質問に答えることは、日常の中でこそ育ちます。

「先生が英語で質問してくるのが当たり前」という空気があるクラスでは、多少聞き取れなくても、子どもたちは“なんとか理解しよう”と耳を傾けるようになります。

■ 習慣化の例:

毎回、英語の質問で出席を取る(名前+ひとこと質問)

クイズ形式で「今日の質問タイム」をつくる

英語表現ポスターで質問フレーズを見える化する



   

子どもたちが「何て言ってるかわからない」と日本語で返してくるとき、それは“英語ができない”のではなく、
まだ英語の音・リズム・やりとりに慣れていないだけ。

だからこそ、繰り返し聞く機会をつくり、「困ったときに使える英語」も教え、やりとりが日常になる環境を整えることがとても大切です。

子どもたちが少しずつ「聞こえた」「分かった」「言えた」を積み重ねていくために、先生のサポートが何よりの後押しになります。

子どもたちに寄り添って、根気よく環境を整えていきたいですね!